DAY9 エルバート山 / Mount Elbert
アメリカ横断・国立公園編に突入
デンバーから西へ山岳地帯に入る。アメリカの国立公園の多くが集中している地帯である。ここもいつか行ってみたいところだった。雄大なアメリカ大陸の大自然を肌で感じたい。ここからは「地球の歩き方 アメリカの国立公園」を参考に行きたいところを地図にマッピングして効率よく廻るためのルートを何度も検討した。旅の最後の西海岸ドライブを考慮して、ここに割り当てる期間は1週間とした。ロッキー山脈から始まって、昨日勧められたユタ州のザイオン、ブライス、アーチーズ。もちろんグランドキャニオンとモニュメントバレーも行きたい。更に、魅力的な街であるサンタフェとセドナも訪れたい。欲張りすぎか?距離感はまったく掴めないが、行けるだけ行ってみることにする。
まず本日は、明朝ロッキー山脈最高峰のエルバート山に登るため夕方までに登山口に辿り着きたいが、その前に他のロッキーの山々も眺めたい。検討の結果、マウントエバンスとマルーンベルスを目指す。
「地球の歩き方 アメリカの国立公園」より
まずは食糧を調達。Colfax通りに面したガソリンスタンドKum&Goのストアが割と大きめだったのでここで買い出し。ここのチョコレート売り場が広かったので思わずチョコの大量買い。チョコは登山の行動食としても好き。しばらく山から降りれないことを考慮に入れ数日分を調達する。
I-70を西へ山岳地帯に入る。
まずはデンバーの都心部から最も近いマウントエバンスを目指したが、残念ながら道路は雪で閉鎖されていた。徐々に気温が下がってきている。
道中にてコロラド州のstate mapを求めてSilverthorneのアウトレットモールにあるWelcome Center に伺ったところ、応対してくれたご年配の男性がとても親切な方で、これからマルーンべルスに向かうことを伝えると、現地のパークレンジャーに電話連絡して、開園状況や道路状況を確認してくれた。とてもありがたい。
この辺りから雪景色となる。我が愛車Jeep Compassはスタッドレスタイヤは履いてないが、4WD仕様でSNOW, SAND, MUD と路面状態に合わせた走行モードがあるらしい。地元北海道での雪道は慣れているが、初めてのアメリカでの雪道のためスリップに気をつけて運転する。
私は、愛車Jeep Compassのことを「Bob」と呼んでいた。ひとりドライブが1週間も続くと車への愛着が自然と湧いてくるものである。
雪化粧のマルーンべルス
高級スキーリゾート地アスペンを抜けてほどなく、マルーンべルスを一望できるマルーン湖に到着。凍った湖の先に雪をしっかり纏った秀麗な山がそこにいた。見事な存在感であった。
暗くなる前にエルバート山の登山口へ急ぐ。夏であれば、アスペンから麓の街レッドビルまでCO-82号線が繋がっているがここも道路閉鎖。仕方なく元来た道を戻って回り道。マルーン湖より約4時間、エルバート山の登山口である、エルバートクリークキャンプ場に到着する。
この旅、最大の問題発生
雪道だがそれほど降り積もっておらず、最近通った車のタイヤの跡もあり難なく登山口まで到着する。しかしここで大きな問題が発生する。
登山口手前の車道で車をUターンさせようとした際、前輪を路肩の雪が降り固まっていないところまで進入させてしまいタイヤがスタックしてしまう。バックができない。
ここでレンタカー会社とAAAの救援を求める。だが携帯の電波が弱く(アンテナ1本)、電話発信ができない。ただなんとかネットには繋がるのでネットでできる限りの方法を試す。
まずレンタカー会社(Enterprise)にメール。店舗マネージャーからメール返信をいただくが、会社の決まりで「本人から電話する必要がある」のとのこと。代替案(WhatsUp等)も提案してくれるがいずれにしてもNG。レンタカー会社は断念。
AAAは電話以外にWebフォームとMessengerでの連絡手段があり、両方使ってみる。ただ既に営業時間外のようで返信無し。(※翌日の7:30頃にMessengerでの返信あり)
万策尽きる。最後の手段は電話可能なエリア(ここから約10km)まで歩いてそこから電話で救援を求めることであるが、冬の夜の森の徒歩移動はリスクが高いので明朝まで車で滞留することにする。
車中泊するための装備(寝袋、マット、ダウンジャケット等)はあったが、さすがに冬のロッキー山脈の夜はすごく寒い。車の温度メーター表示は華氏だが、おそらく摂氏マイナス8度位か。途中寒くなり過ぎて何度も目が覚める。長い夜だった。
そして・・・翌朝5時頃、辺りが車のライトで明るくなるのを感じ飛び起きる。これからエルバート山を登る予定のハイカー達がやってきたようである。
若いハイカー4人に車を押してもらい救援成功。感謝で涙が出そうになった。どうも有難う。
一緒に登るか?と誘ってくれたが、さすがに低温で身体がだいぶ消耗していることを感じているためお断りする。計画していたエルバート山登山は断念することにした。
Review of the route
- 走行距離:343mile (553km)
- 走行時間:7時間27分
救援を受けた登山口から平地まで移動する。すでに辺りは明るくなっていたが、後ろを振り返るとエルバート山がとても美しい。
海外での単独雪山登山はちょっと難しかったかもしれない。札幌にいる家族に電話してようやく人心地がつく。家族にも感謝。
冬のロッキー山脈はこれで完了して、南のサンタフェを目指すことにする。